2007年10月28日

with you…




『例え、何処に居ようと……見つけてみせるさ』


『何処であっても、貴方の傍に……』


“ ―願い― と ―想い― ”
posted by 目録代行人 at 03:25| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月24日

夜纏ノ牙 と 四元ノ繰リ手【第一項】


◇前哨戦◇
―宵ノ死闘―


風ハ水ヲ呼ビ、水ハ木ヲ育ム……

木ハ火ヲ猛ラセ、火ハ風ヲ起コス……


「今宵ノ蟲ハ…煩クテ敵ワヌ……」






月夜の林に夜虫の声がコダマする。
満ち往く月の光が、林の奥に広い平原を照らし出していた。

突如、轟音が轟き、辺り一帯の木々を震わせる。
平原の中央に膨大な土煙が立ち込めた。
土煙の中に人影が見える。その一つが土煙から飛び出して来た……否、吹き飛ばされて来た。
幾度か地に体を打ちつけ、十メートル程転がった末に止まった。
人影がゆっくりと立ち上がり、土煙の内部を見据える。
「野郎ぉ……」
人影は青年の様だ。頭髪が月光を反射し、赤みを帯びた鋼色に輝いていた。
額からは止めど無く紅い雫が滴り落ちている。目に入ってしまったのか、左目は閉じられていた。
それでも尚、彼の碧い瞳は力を失ってはいない。土埃と血糊でくすんだ頬を手の甲で拭いつつ、彼は眼前に立ち込める土煙に向かって叫んだ。
「いつまで其処に居る気だ!?出て来やがれクソ餓鬼!!」
「……クソ餓鬼は酷いんじゃない?」
未だ消える事の無い土煙の中から、あどけなさを残した声音が漏れ出る。
人影が揺らめき、声音同様の幼さを残した少年が姿を現した。
水淵より深く…暗い闇色の髪に、混沌を想像させる…濁った紫闇の瞳を携えた少年が……
「これでも君より年上だよ?」
「寝言は寝て言うもんだぜ?」
真実ならば笑えない少年の言葉に、彼は嗤って皮肉った。
「それもそうだね」
何を納得したのか、少年は彼に微笑み返す。そして続けた……
「それじゃあ……オヤスミ」
少年は彼目掛けて駆け出す。
彼の目に、少年の右手へと白い光が集束しだすのが見えた……『さっきのやつか……』
どうやら、白い光の集束は彼を吹き飛ばした術の予備動作らしい。
「ふざけんな………寝んのは手前ぇだ!」
彼も少年目掛け走りだした。

先手を取ったのは少年。
右手に集束していた白い光は球状になり、少年はそれを彼の懐へと押し入れ様と腕を伸ばす……
だが、少年の腕は虚空を突いた。
青年が勢いをそのままに、咄嗟に体を捌き、少年の腕をかわしたのだ。
「終わりだ…………なっ!?」
身を翻し、拳を振り上げた瞬間……青年の身を紅蓮が包み込んだ。
「知ってる?風は水を呼ぶけど、火とも相性がいいだよ?」
振り向いた少年の顔には微笑みが浮かび、青年の前に突き出された左手には、赤い光が球状を成していた。
しかし、青年の振り上げた拳を解かせるまでには至らなかった様だ。

「……それが如何した?」

痛覚が無い訳ではない。
只、目の前の相手に負けたくないと思う青年の意思が、振り上げた拳を少年へと打ち下ろさせた。



「…………夜斗彦」



『……馬鹿…な…』間違いなく、拳打は少年の顔面を捉えたはずだった…だが、青年の拳は寸での処で止められていた。
少年の…人のものですらない、獣の腕に……
彼はすぐさま身を捩り、間合いを取ろうと後ろへ跳んだ…が、遅すぎたらしい……。

突如として現れたその腕は、次の瞬間には消え失せ、青年の背後を鋭利な何かが引き裂いた。
声も無くその場に倒れこむ青年。
全身の感覚が薄れ始め、身体が急速に冷えて行くのを感じる。
遠のいていく意識の中で、青年は聞き覚えのある声に名を呼ばれた気がした……


◆厄夢ノ果テノ光◆
posted by 目録代行人 at 11:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夜纏ノ牙 と 四元ノ繰リ手【第二項】


◆禍神ト白兎◆



激しい動悸が、彼を夢路より引き戻す。
自然と呼吸が荒くなり、全身の傷が疼く。
満身創痍の身を引き摺り、彼は部屋から姿を消した……


「………参ったな」
広大な敷地に立つ鳳家の一角で、司は道に迷っていた。
お手洗いを借りて、部屋に戻ろうとしたのだが……どうやら、引き返す道順を間違えてしまった様だ。
デカイ屋敷の割りに人の気配がまったくない。その為、道順を聞こうにも誰とも擦違わない。
「人様の家で迷子になるなんて……」
自分自身を憐れみつつ、通った覚えのない軒廊から庭園内に目をやった。
屋敷も大きければ、同じ敷地内に混在する庭も見事なものだった。
改めて、先輩が自分の家に同居している意味が分からなくなってくる。
前々から、生活水準の違いが気になってはいたが……此処までとは………

「……あれ?」

庭園の奥に人影が見えた気がした。
思わず司は駆け出した。
庭を突っ切って善いものかとは思ったが…この際、悠長な事は考えてられない。
この時、迷い始めて既に小一時間は経っていたのだ。


「確かこの辺りだったと……」
人影が見えた辺りに辿り付いた司は、周囲を見回し人を探す。
しかし、人っ子一人見当たらない……
やはり見間違いだったのかと、引き返そうとしたその時…話し声が聞こえてきた。


「困りますね。勝手に出歩かれては……」

「私ガ屋敷内デ何ヲシヨウト……勝手デショウ……?」


話しているのは男女二人、一人は風流先輩の様だが……もう一人の女性声には聞き覚えがない。
司は意を決して、二人に近づいてみる事にした。


「確かにそうですが。その身体は、まだ安静が必要なのですよ?貴女だってそれは分かってお出ででしょう?」

「ソウネ……デモ彼ハ…外傷ヨリ内側ノ傷ニ苦シンデイル様ヨ……?」

「………」

「ソレニ…コウデモシナイト……マタ一人デ闘イニ行ッテシマウカモ知レナイジャナイ……」

「それに関しては、礼を言っておきます。ですが、部屋には戻って頂きますよ。その姿を他者の目に晒す訳にはいきませんから」

「アラ……ソレハチョット遅カッタカモ知レナイワネ……」

「!…誰です!?」


司の耳元をクナイが掠った。
「す、すみません!!道に迷ってしまって、人の声がしたので道を聞こうと…!」
「司さん!?すみません、お怪我はありませんか?」
慌てふためく司の目に映ったのは、思わぬ閲覗者に驚きつつも彼の身を案じる雪兎と、漆黒の長髪から紅い瞳を覗かせた、包帯姿の女性だった。
「此処は広いですからね。部屋までは僕がご案内致しますよ」
微笑みを浮かべ、雪兎は司を急かす様に移動を開始する。
そんな二人の後ろ姿を、女性は薄く嗤いつつ見送っていた。


◆守護ノ誓約∽喪失ノ恐怖◆
posted by 目録代行人 at 11:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夜纏ノ牙 と 四元ノ繰リ手【第三項】


◆不破ナル生ニ永久ナル静ヲ◆



早朝の道場に組み手の音が響く。
「桃花鳥先輩、傷はもう良いのでしょうか…あんなに激しく動いたりして……」
「大丈夫ですよ琴古先輩。アレが先輩流のリハビリらしいですし」
道場の端で心配そうに二人の様子を伺う琴古に、ミコは微笑み掛けた。
しかし、そうは言ってみたものの、目の前で繰り広げられているソレは、組み手とは言い難いものがあった。
実践さながら……いや、死合いと言ってもいいだろう。
お互いが、相手へ最上位の敬意を払っているからこそのものなのかもしれない…だが、やはり心配で直ぐにでも止めさせたくなる……
「でぇぁ!!」
二人の心配を余所に、司の放った渾身の蹴りが桃花鳥の右頭部へと向かう。
「甘い…」
蹴撃を寸での処でかわした桃花鳥は、すぐさま反撃に移る……
「くたばれ!!」
死角を突いたはずの一撃だったが、司は後方へ跳ぶ事で回避する。
『やっぱり止めた方がいいかも……』桃花鳥の言動に、改めてミコは思った。

組み手を始めて三時間。
僅かだが桃花鳥の動きが鈍りだした。やはり、怪我が完治していなかったのか……
しかし、司はその隙を見逃さない。
瞬時に桃花鳥の懐へと潜り込み、喉下に手刀を見舞う…正確には、寸止めのつもりだったのだが、本気になり過ぎたせいか、決まってしまっていた。

「…なろぉ……」
咳き込みながらも、立ち上がろうとする桃花鳥に司は手を差し伸べる。
「今回はこれ位にしましょう?次は先輩が全快の時にでも」
「……次は絶対ぇ負けねぇ………」
司の手を取り立ち上がりつつ、痛む喉を擦って桃花鳥もそれに同意した。



朝食を済ませた四人は、桃花鳥から簡易ではあったが、敵の詳細を知らされた。
「吹き飛ばし効果付きの術ですか…」
「あぁ。しかも、俺の青龍アビ同様に連携が可能みたいやったな……」
真剣な面持ちで聞いていた琴古の呟きに、桃花鳥は付けたしの説明を入れた。
「その上、連携の仕方は自由の様や……」
「……厄介ですね」
「でも、見分ける事は可能なんでしょう?」
考え込む三人に、ミコは一つの提案をした。
「使用前には手に光を集めるみたいだし、それさえ阻止すれば術も使えないんじゃないかしら?」
「そうですね。こっちは四人も居るんですから、溜めに入るのはほぼ不可能に近いですよ」
ミコの提案に頷き、司は同意の意見を挙げた。

一先ず、少年の対策は出来てきていたが、問題が一つ残った。
それは、神出鬼没に姿を現し、桃花鳥に重症を負わせた存在……
桃花鳥自身もその姿を直視していない為、特徴等が分からず、対策が立てられずにいたのだ。
「数的には此方が有利なんですがね……」
司の見解通り、傍から見れば此方に分があった。
しかし、何処からともなく現れるとなるとなると、話は別だ。
少年の相手をしている時に、背後からの一撃など想像もしたくない。
「どうにか、動きを止められませんでしょうか?」
「私の導眠符や、司先輩のフレイムバインディングじゃ駄目なの?」
「難しいと思いますよ…いつ何処から出て来るかも分かりませんし……」
難しい顔をして悩む三人を前に、桃花鳥は一つの策を考えていた。
それは、無謀としか言えない様な賭け……
だが、他に手がない今、桃花鳥はこの考えに望みをかけていた。


◆不破ナル生ニ永久ナル静ヲ◆
posted by 目録代行人 at 11:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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